日本人の中で50人に1人いる社長
国税庁の統計資料によると、日本には約255万社の法人があります。
255万人の法人があれば、同じ数だけの「社長」がいることになります。
日本の全人口が約1億2.700万人ですから、だいたい老若男女合わせて50人に1人の割合で「社長」がいることになります。
社長 = 経営者ではない
社長という言葉によく似た言葉に「経営者」があります。
この2つの言葉は、単に「私」と「自分」と同じような表現のバリエーションに過ぎないのでしょうか。
ところで、別の視点から社長という言葉の仲間を探すと、部長・課長・係長といような「長」繋がりの言葉があります。
「〇長」というネーミングの法則から分かることは、組織にヒエラルキーがあることを前提として、会社組織のトップが社長ということになります。したがって、社長がいない会社はあり得ないことになります。
社長がいない会社はあり得ないのなら、経営者がいない会社はあり得ないと言い切れそうですが、話はそう簡単ではありません。
なぜなら、ある企業では「社長だけれども、経営をしていない人がいる」一方で、別の企業では「社長ではないけれど、経営をしている人がいる」からです。
「社長」になる4つの方法
冒頭で、日本には約50人に一人の社長がいるという話をしたように、社長になることは案外簡単です。以下の4つの方法で、社長になることができます。
- 起業する
- 同族企業において事業承継する
- 社内で出世の階段を登り詰める
- ヘッドハンティングで落下傘降下する
では、これら4つの中で最も簡単に社長になる方法はどれでしょうか?
それは1番目の「起業する」方法です。以下、番号が大きくなるにしたがって難易度も正比例して上がることになります。
30万円くらいのお金があれば、株式会社を1円起業して、誰でも社長になることができます。
「経営とはなにか?」に対する一般解は存在しない
社長の意味は、「企業という組織のトップに位置する者」という意味ですが、経営者について具体的な定義するとどうなるのでしょうか?
経営者=経営する者ということですから、「経営者とはなにか?」という問いは、「経営とはなにか?」という問いに置き替えることができます。
そこで、手っ取り早く「経営とは」をキーワードにGoogleで検索してみると、血液型診断におけるバーナム効果よろしく、何かを語っているようで何も語っていない検索結果しか見つけることができません。
そのワケは、経営学の試験で点数を取るための経営の定義は存在しても、実務的な意味での経営の明確な定義は世の中に存在しないからです。
社長として自分自身の経営の定義をしているか?
「経営」とは、一人ひとりの経営者にとって異なるものなのです。と言うか、異なるものでないといけないのです。
だから、経営者になるためには、自分にとっての経営を定義する必要があります。
裏を返すと、自分にとっての経営が定義されていない限り、社長であったとしても経営者にはなれません。
世の中を見渡すと、社長がトップ営業マンであったり、人事管理責任者、財務管理責任者であったりする会社がたくさんあります。
その企業の職務分掌として、社長にトップ営業マンの仕事を割り振るのは自由です。
特に少ない人員数で業務運営をしていく必要のある中小企業にとって、一人で複数の仕事をこなせることは望ましいことです。
問題は仕事の数ではなくレベルです。社長が部長レベルの仕事しかしていない企業の数が想像以上に多いのです。
社長が部長レベルの仕事しかしていない会社では、他の社員については推して知るべし。
部長は課長レベルの仕事に留まり、課長は平社員レベルの仕事をしていて、平社員はほとんど戦力になっていません。
実際に社長が経営者でもある会社は、100社のうち多く見積もって2から3社というところです。
それ以外の会社については、社長は統括部長に過ぎず、経営者ではないのです。
なぜなら、自分にとっての「経営」を明確に定義していない社長だからです。
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