コンサルタントに期待する役割とは?

経営脳のトレーニング
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クライアントとコンサルタントとの間ですれ違いを防ぐ

コンサルタントに仕事を依頼したが、「役に立たなかった」という経営者の不満を聞くことがあります。コンサルタントの技量が低いことが原因の場合もありますが、もう一つの原因として、コンサルタントとクライアント(顧客企業)との間に、期待される成果やコンサルティングの遂行方法について共通理解が得られていなかった場合があります。

そのためには、コンサルティング着手に当たっては、以下の2点についてしっかりと相互理解を得ることが大切です。

  1. コンサルタントを招聘した理由
  2. コンサルティングの達成目標とその成果の測定方法

さらに、コンサルティングの遂行方法については、つぎの諸点について明確にしておくことが重要です。

  1. コンサルタントとクライアントそれぞれが果たすべき役割は何か。共同して引き受けるべき事項は何か。
  2. 「誰が」「何を」「いつ」「いかにして」行うのか。
  3. クライアントはコンサルタントから解決策の提出を求めているのか、それともコンサルタントの支援を受けて、自ら解決策を策定したいと考えているのか。
  4. クライアントは、コンサルティング・プロセス全般に渡って、深く関与していく用意があるのか。
  5. コンサルタントの守備範囲で、クライアントの関与を仰がずに取り扱うべきタスク(事項)があるのか。逆の場合はどうなのか。

コンサルタントの役割とは

コンサルタントと一口に言っても、さまざまなタイプが存在します。「業界」と「業務」で表される分類の切り口(例:「飲食業界」向け「人材育成」コンサルタント)は理解が容易なので、誤解を招くことは少ないはずです。しかし、コンサルタントの果たす役割という切り口について曖昧なままにしておくと、「こんなはずじゃなかった」ということに成りかねないので、十分な相互理解が必要です。

リソース(資源)に関わる役割

コンサルタントの役割は、大きく分けて2つあります。ひとつ目が、リソース(資源)に関わる役割です。

リソースに関わる役割を果たすコンサルタントは、技術的かつ専門的知識を提供したり、クライアントに対して直接、またはクライアントの利益に繋がる何らかの行動をとることでクライアントを支援します。

つまり、情報提供、企業診断、フィージビリティ・スタディ(実行可能性検証)の実施、ITシステムの設計、スタッフ訓練、経営全般あるいは特定分野への変革の勧告、経営者の戦略策定に対するアドバイザリー業務などが、リソースに関わる役割を果たすコンサルタントの仕事になります。クライアントの組織内に足りない人的リソースをコンサルタントが補完するという役割とも言えます。

プロセス(過程)に関わる役割

二つ目は、プロセス(過程)に関わる役割です。

プロセスに関わる役割を果たすコンサルタントは、変革の媒体として、クライアント自身に、企業内の変革のプロセス、その予想される成果、変革を促進するためひ必要なスキルについて理解と認識を持たせることで、その企業特有の課題を解決することを支援します。

つまり、単に専門的知識や解決策を提供するのではなく、プロセスに関わる役割を果たすコンサルタントは、主に自己の価値観、方法論、課題へのアプローチ手法を提供することで、クライアント自身が自分の課題を診断し是正できるようにするのです。

クライアント自身の可能性に信頼性を置き、その能力を引き出していく役割とも言えます。

コンサルタントの果たす2種類の役割を言い替えると、リソース・コンサルタントは変革の対象(=What)をクライアントに示唆するのに対して、プロセス・コンサルタントは変革の方法(=How)を提示します。

このように、コンサルタントの役割という切り口で見た場合、リソース型とプロセス型の2つのタイプが存在するので、クライアント側としては、前段で述べた「コンサルタントを招聘した理由」において、コンサルタントにどちらの役割を強く期待するのかを明確にしておくことが、コンサルティングから得られる成果を極大化するために重要なことです。

しかし、コンサルタントとして、リソースとプロセスどちらか一方に関わる役割しか果たさないということはまれで、たいていの場合は、リソース型とプロセス型の役割は補完的、相互支持的に組み合わされます。

ただし、リソース型とプロセス型双方の役割を高次元で果たせるコンサルタントの数は限られているので、注意深く判別をする必要があります。

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