戦略の目的は意図して売るための構造をつくることにある

経営脳のトレーニング
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計画達成か未達かよりも結果に至るプロセスを語れるかが重要

1年間を会計年度として決算というかたちで業績をまとめることが企業には求められています。

毎期の予算を作成している場合、決算書ができ上がれば予算と対比することで、企業に通信簿を付けることは簡単です。

もちろん結果が予算未達よりも予算達成の方がよいのですが、未達であれ達成であれ、その結果になったプロセスを明確に語れることの方がより大切です。

ですから、期首に立てた目標が達成できていると、それだけで満足して結果オーライで済ませてしまう経営者が一番問題です。

毎日一生懸命働いていたら、「気づかないうちに目標を達成していました」では、達成の意味はありません。

反対に、目標を達成できなかったとしても、「なぜ達成できなかったのか」について明確に語れる経営者がいる会社の方が、中長期的には業績が伸びる潜在力を持っていると言えます。

2020年の決算を引き合いに出すと、飲食業や観光業に属する企業の多くは予算未達になっていますが、「コロナ禍で大幅な需要の減少となり、予算を達成することができなかった」という振り返り方では、好業績を結果オーライで済ませている振り返り方と違いがありません。

コロナ禍は外部要因に過ぎません。そして、外部要因は自社にとってコントロールできないことなので、コロナ禍という外部要因によって業績を落とすことになった内部要因について考えない限り、翌期の経営課題が見えてきません。

漁師に例えると、素潜りして魚をモリで突いているだけでは、今日魚が獲れても獲れなくても運が占める割合の方が大きいのですが、運の要素を下げるために、モリではなく釣竿を使う、その次は網を使う、そして最後は養殖をするというように、勝つべくして勝つ構造(ストラクチャー)を連続的に生み出せる企業こそが真の強さを持っているのです。

経営の三大要素 ~ ヒト・モノ・カネから戦略・ヒト・カネへ

昔から経営に必要な三大要素として、ヒト・モノ・カネが定番です。

よい人材を集め、よい商品を生み出し、豊富な資金があれば、企業は成長するという意味なのでしょう。

しかし、最近の会社を見ていると、これからの時代の経営に必須の要素はヒト・モノ・カネではなくなっていることに気づきます。

なぜなら、人材が豊富で、商品の質も良く、資金力もあるのに、業績が伸び悩んでいる企業がたくさん現れてきているからです。

では、こらからの時代の経営にとって必要な要素は何でしょうか?

それは、戦略・ヒト・カネです。

こう書くと、モノはどうでも良くて戦略が良いことが重要である、という誤解を与えるかもしれませんが違います。

モノが良いのは当たり前で、それだけでは売れない時代になったということなのです。

こらからの時代は、良いモノであっても戦略が不在ならば、決して売れることはないでしょう。

一方で、長引くデフレ不況の中でも、業績を伸ばしている会社は確実に存在します。

そういう会社に共通している特長は、他社にはない戦略があるということです。

戦略の意味と目的を知らない企業は戦略不在であることに気付かない

こう言うと、ほとんどの経営者は「わが社にも戦略はある!」と主張します。

しかし残念ながら、多くの社長は戦略の意味をきちんと理解していません。

たとえば、「営業力アップ」「商品開発の推進」「ブランディングの強化」「顧客満足度の向上」「コストダウン」ということを戦略だと考えている経営者が多いのですが、これらは戦略ではありません。

戦略の目的とは、意図して売れる構造をつくることです。

つまり、顧客が買いたくなる、もしくは買わざるを得ない構造作り出すことを意味します。

その構造を支えるために、営業力をアップしたり、商品開発を進めコストダウンを図るのが、戦略の本当の在り方なのです。

そもそも構造がないのに、コストダウンや商品開発をしたところで、仮に好結果に結び付いたとしても、それを戦略とは言えません。

売上目標が7億円だったのに、10億円の結果が出たと喜ぶような「結果オーライ」発想ではダメなのです。

つまり、ヒトとカネという資源を活かして、1年間の売上と利益をどう生み出すのかを考えるのが経営者の仕事です。

できる経営者ほど、その期間を3年、5年と伸ばしているのです。

さて、今期一年を振り返って、「意図して売れる構造」が存在していたでしょうか。

存在していたとするなら、立てた仮説に対して、どういうフィードバックが得られたでしょうか。

そして、来期に向けて、新たにどういう仮説を立てるでしょうか。

さらに、来期はどのような戦略を持っているのでしょうか。

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