組織運営で重要なナンバー2の存在
少し前の話になりますが、2014年『軍師官兵衛』がNHKの大河ドラマ放映されたことで、「軍師」や「ナンバー2」という言葉が注目されたことがありました。
企業経営においでもナンバー2の役割が重要なことは、今も昔も変わりありません。
企業再生の現場では、ナンバー2である専務や常務が改革の障害となると、一気に状況の悪化が加速することがあります。
企業組織以外の日常的な趣味のグループやボランティア団体でも、優れたナンバー2がいれば組織のの運営はスムースに進むはずです。
組織運営において、ナンバー2は重要な存在なのです。
ナンバー2には2つの意味がある
では、優れたナンバー2とはどんな人物なのでしょうか?
その違いを理解するために、「ナンバー2」という言葉を使った文章を二つを見比べてみます。
- 専務がナンバー2でいてくれるから、うちの会社は成り立っている。
- 専務はナンバー2として、次期社長になることが予定されている。
この二つのナンバー2の意味には、以下の違いがあります。
1番目は、「補佐役」という意味。
2番目は、「ナンバー1筆頭候補」という意味。
補佐役としてのナンバー2の条件とは
社長が最初に必要とするナンバー2は、補佐役としてのナンバー2であることが多いが、優れた補佐役の条件とは何だろうか?
その答は、こうなります。
モノを売らせたらナンバー1という人。技術力においてナンバー1という人。なぜなら、社長は偏った能力を持った人が多いからです。特に創業社長に、強く当てはまるでしょう。
このように一芸に秀でていたからこそ、売上を拡大して人を雇い会社という組織を率いるようになったのが社長です。
その裏返しとして、社長は企業経営をしていくうえで不得意な分野を抱えていることが多い。
不得意なことに努力して取り組んでいては、せっかくの長所が十分に活かせなくなってしまう。
そこで、補佐役として自分の不得意な分野をカバーしてくれる存在が必要になってきます。
つまりナンバー2=補佐役が優秀かどうかは、自分の不得手をどこまで補完してくれているかによってケースバイケースで決まることになります。
事業承継によって変わるナンバー2の条件
したがって、Aという社長にとって優秀なナンバー2であったとしても、Bという社長にとっては優秀なナンバー2ではない可能性があります。
一つの会社の中で言えば、今の社長にとって有用なナンバー2であっても、次期社長にとっては無用なナンバー2になることが起こります。
そのため、事業承継をして先代社長だけ引退し古参役員がそのまま続投したが、先代社長と後継社長では得意不得意の分野が異なるので、古参役員の存在が疎ましく感じられるという事態が生まれます。
古参役員の方に敬意を表することは大切ですが、社業を盛り上げていくために、後継社長は自分にとって必要なナンバー2は先代から引き継ぐのではなく、自ら探し出す必要があるのです。
ナンバー1候補としてのナンバー2は育てるもの
一方で、「ナンバー1候補」としてのナンバー2は育てていく必要があります。
現経営者にとって役立つ補佐役を目指す必要はありません。
自分がナンバー1になる人は、先ずは自分自身を見つめ、得意不得意を見極めることで、必要なナンバー2を得ることを考える必要があります。
一方で、ナンバー2を目指す人は、求められる絶対的な能力がないという大前提を知る必要があります。
そのうえで、自分の得意分野を見出し、逆にその分野を不得手とするナンバー1になる人を巡り会うようにすることです。
つまりは、ナンバー2にとって最初に不可欠な素質は、自分およびナンバー1の能力を客観的に分析する能力ということでしょう。
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